ノート仕事とAI

個人情報は、入力しようとして入力されるわけではない

AIへ文章を貼り付けるとき、こちらの目的は要約や修正で、個人情報を渡したいわけではない。それでも情報は仕事の文章の端に混ざっている。送信の直前に一度だけ確認を挟むことにした理由と、判断まで引き受けなかった理由。

仕事とAI 日々の記録

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夕方の机に置かれた紙の束。机の縁からはみ出した端だけに窓からの光が当たり、手前のガラスのインク瓶が濃い紫の影を落としている

AIに長いメールを貼り付けるとき、こちらの目的は要約か書き直しです。個人情報を渡したくて貼っているわけではありません。

情報は、文章の一部として混ざっている

貼り付けるのは、たいてい仕事の途中にある文章です。取引先とのメールのやりとり。フォームから届いた問い合わせ。エラーが出たログ。契約書の一節。

こうした文章は「個人情報が入ったファイル」として意識されていません。要約したい文章、直したい文章として扱っています。ただ、そこには宛名も、署名も、電話番号も、引用の中に残った別の誰かのアドレスも、そのまま付いてきます。

個人情報を入力しようとして入力する人は、あまりいないのだと思います。仕事の文章を入力したら、結果として一緒に入っていた。順番はそちらに近いはずです。

「貼り付ける」は、「入力する」でもある

コピーした時点では、まだ手元にあります。意味が変わるのは、外部のサービスへ送信する瞬間です。

貼り付けるという言い方には、机の上で紙を移すような軽さがあります。実際に起きているのは、自分の管理下にある文章を、自分の管理下にない場所へ入力することです。同じ操作なのに、呼び方で重さが変わってしまう。

見落とすのは、たいてい端のほう

長い文章では、注意は本文に向きます。要約してほしいのが本文だからです。

見落としやすいのは端のほうでした。署名。引用された過去のやりとり。貼り付けた表の隅。ログの末尾に出てくる識別子。本文を読み込んでいるあいだ、そこは視界の外にあります。

これは注意力の問題ではなく、注意の向き先の問題だと思っています。自分の場合も、後から気づくのは決まって端のほうでした。

研修は、送る瞬間には居ない

情報の扱い方は、一度説明されれば知識としては入ります。ただ、実際に貼り付けるのは、締め切りが近い午後や、返信を急いでいるときです。そのときに思い出せるかどうかは、知識の量とは別の問題でした。

知っているのに見落とす、という状態があります。だとすれば、足すべきものは説明ではなく、送る瞬間に見えるもののほうではないか、と考えました。Safe Privacy Gate はそのために作った道具です。入力欄の文章を送信する直前に、個人情報らしき箇所を画面に出す。やっていることはそれだけです。

検出は誤るし、正解も一つではない

そこから先の判断まで引き受けていないのには、理由が二つあります。

一つは、検出が誤るからです。数字の並びが電話番号に見えることもあれば、人名に見えない人名もあります。取り違えは起きます。自動で止める設計にすると、誤検出のたびに作業も止まります。

もう一つは、送ってよいかどうかが、文章の目的と相手によって変わるからです。自分の名前を自分で入力するのは、問題にならないことが多い。同じ形の情報でも、他人のものなら止まったほうがいい。社内のツールに入れるのか、外部のサービスに入れるのかでも変わります。この線引きは、道具の側からは見えません。

だから、自動で遮断もしませんし、自動で消しもしません。見つかった箇所を出して、そのまま送るか、直してから送るかを、その場で選んでもらう形にしました。

作ったのは、利用者を信用していないからではありません。注意している人でも、作業中の文章を毎回すべて確認するのは難しいからです。

難しいのは確認する気持ちのほうではなく、確認する場所のほうでした。だから、場所だけを用意しました。

タグ: 個人情報・AI・送信前の確認・設計判断

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